家賃滞納で強制退去させる事はできる?保証会社の場合は?
今回は家賃滞納による強制退去について少しだけ書いてみようと思います。
家賃を滞納している借主さんによって、一番気になるのは強制退去かと思います。
家賃を支払えない理由は様々かと思いますが、その際に強制的に部屋を追い出されるのでは?と不安や怖さを感じる人も多い事でしょう。
それでは家賃を滞納した場合、借主さんは大家さんに強制退去させられてしまうのでしょうか。
スポンサーリンク
目次
家賃滞納をしたら強制退去させられる?
まず家賃を滞納した場合、大家さんは当然に未払いの家賃を支払うように請求してきます。
家賃を支払わないという事は契約違反にあたりますので、これは当然の事かと思います。
ただし例えば1回くらい(1か月分)家賃を滞納したような場合では、原則として契約解除は認められません。
また強制退去を求めることも通常ではできません。
家賃滞納で契約解除・強制退去までさせるには以下のような手順を踏む必要があります。
①借主の家賃滞納が発覚
↓
②大家が滞納分の家賃を催告(内容証明郵便が望ましい)
↓
③相当の期間(一般的には3か月程度)借主が家賃を支払わない→信頼関係の破壊
↓
④契約解除通知
↓
⑤明け渡し請求訴訟
↓
⑥強制執行
家賃滞納は確かに契約違反ではありますが、かと言って無催告解除は認められず、まずは借主さんに滞納分の家賃を一定期間請求し、相当期間が経過しても家賃を支払わない場合になって初めて契約解除する事ができます。
ご存知の方も多い通り、契約解除や借主を退去させるには、貸主と借主の信頼関係が損なわれたとみなされる程の理由が必要であり、1~2回程度の家賃滞納では契約解除は難しいと裁判所に判断されるケースが多くなっています。
もちろん、1回程度の家賃滞納で大家さんが借主さんに「退去してくれ」と直接言うこともあるかと思いますが、この時でも借主さんがそれに応じるかどうかは借主さんの意思次第です。
それではどのくらいの家賃滞納があれば契約解除が認められるかと言えば、これは明確な定義や決まりはありませんが、通常は3か月程度の家賃滞納があった時にはお互いの信頼関係が損なわれたとして解除が認められる可能性が高くなります。
もちろんその場合であっても、借主に対して催告・請求をしていたという経過が分かるように、内容証明郵便等で催告をしておく事が大切です。
期間としても家賃滞納から強制退去・明け渡しまでは1年前後かかると見込んでおいた方が良いでしょう。
家賃滞納で連帯保証人に強制退去を請求できる?
通常の賃貸借契約では、家賃滞納時などに備えて連帯保証人を立てておく事が一般的です。
最近では保証会社を利用するケースも増えてきましたが、保証会社を利用している場合でも別途保証人を立てさせる場合も多くなっています。
さて家賃滞納をしている借主に何度通知を送っても家賃を支払ってもらえない場合には、通常は借主の連帯保証人に連絡を入れることになります。
大家側は借主が家賃を滞納していれば、当然に連帯保証人に請求することができ、連帯保証人もその請求を拒むことは出来ません。
連帯保証人は滞納家賃など大家さんが受けた損害を借主に代わって支払う必要があります。
ただし連帯保証人は借主の滞納家賃を支払う義務はありますが、賃貸借契約を解約する権利はない事に注意が必要です。
連帯保証人は借主の賃貸借契約につき、以下のような義務があります。
- 滞納家賃の保証(連帯保証人が借主の滞納家賃を支払う)
- 原状回復費(借主が退去する際の退去費用の支払い)
- 契約解除後の家賃(契約解除日を過ぎても借主が部屋を明け渡さない場合の家賃の支払い)
- 借家人賠償責任(借主が賠償責任を負った際)
また貸主としても部屋の退去・明け渡しの請求は、借主本人にするのが原則であり、連帯保証人に部屋の明け渡しを請求することはできません。
スポンサーリンク
家賃滞納で保証会社に強制退去を求められた?
最近では賃貸で保証会社を利用するケースが多くなってきました。
もし保証会社を利用している場合、借主が家賃滞納をしたとなると家賃保証会社が賃料を立替え払いします。
そして家賃保証会社は借主本人に請求をしていく事になります。
あくまで保証会社にもよりますが、通常は滞納をしてから10日くらいまでには本人宛に督促の連絡が入ります。
この時点でしっかりと滞納分の支払いの約束が取れれば大きな問題はないでしょう。
ですがもし支払いの約束が出来なかったり、連絡に応答しない場合には、連帯保証人にも連絡がいく事になります。
そしてその後も支払いが滞ってくると、保証会社によっては自宅を訪問し催促を行いますし、法的な対処を迫ってくる事もあります。
本来、家賃保証会社が対応できるのは基本的には滞納家賃の催促までであり、家賃保証会社の退去勧告自体に法的拘束力があるわけではありません。
あくまで契約を解除したり、明け渡しを求めることができるのは保証会社ではなく賃貸人(大家)です。
確かに保証会社の督促は厳しめという話も聞きますが、強制的に借主を退去をさせる為には裁判所へ訴訟を提起し、判決をとった上で強制執行を行うという手順が必要になります。
また保証会社から代位弁済があった場合には借主から貸主に対して家賃滞納がない事にはなりますが、その場合でも貸主は契約解除できる場合がありますので注意が必要です。
家賃滞納の場合は少額訴訟や支払督促も
家賃滞納期間が長く借主に支払う意思がないのであれば、確かに最終的には明け渡し・強制退去という事も考えられます。
ですが無理に明け渡しを求めようとすると強制執行までには長い時間がかかりますし、またその後のすぐに借主が見つかるとも限りません。
そのためもし借主に支払い能力が残っているのであれば、催促の方法を変える事で滞納家賃を支払ってもらえる可能性もあります。
その方法の1つが少額訴訟や支払督促です。
少額訴訟は60万円以下の請求に限られますが即日で判決が出ますし、支払督促に関しても法定に出廷する事なく申立てをする事ができます。
費用も数千円程度で済むなど、裁判と異なり安く済む事もあるでしょう。
また勝訴判決が出ても家賃が支払われなければ強制執行も可能であり、借主の預貯金の差し押さえ等も可能です。
少額訴訟や支払督促も、滞納家賃の回収方法の1つとして考慮しておいても良いかと思います。
家賃滞納による強制退去まとめ
家賃滞納による強制退去について挙げてみました。
確かに金銭的な事情で支払いが難しくなる事はあるかと思いますが、やはり家賃滞納も契約違反にあたります。
そのため最初から余裕を持って支払っていける物件を借りる事も大切ですし、日頃の家計のやりくりも気を付けなければなりません。
確かに借主さんは法律により保護されており、貸主さんからしてみれば強制退去を迫ることは簡単ではありませんが、それでも連帯保証人などにも出来るだけ迷惑は掛けたくないものです。
家賃滞納をしないように十分に注意して、日頃から金銭管理をしっかりと行っておきたいですね。
それでは今日はこの辺で。
スポンサーリンク