賃貸契約前に初期費用を前払い?正しい支払い時期は?

今回は初期費用の支払いタイミングについて少しだけ書いてみようと思います。

気に入ったお部屋が見つかったら申込み後、審査が通ればいよいよ契約、、という事になるのが普通ですが、契約前に初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など)を先に振り込んでくださいという事が多いかと思います。

特に首都圏等では多いかと思いますが、顧客側としてはまだ契約内容もちゃんと確認していないのになんで?という感覚に陥る人もいるのではないでしょうか。

確かに賃貸に限らず、通常の契約事においても商品の引き渡しとお金の受領は同時のタイミングで行われる事が一般的なために、このような前払いの慣習を不思議に感じる人もいるのでしょう。

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賃貸契約の初期費用の支払時期は?

書類

 

まずは最初に賃貸の申し込み~契約までの流れを簡単に説明します。

通常は以下のような流れが一般的です。

  1. 部屋の内見
  2. 申込み
  3. 入居審査を通過
  4. 重要事項説明
  5. 契約
  6. 物件の引き渡し(入居)

 

そして初期費用の支払時期(タイミング)については、基本的には入居審査が通り、重要事項説明を行い契約者の了解を得た後に、初期費用の入金をする事になります。

ですが実際には、契約前(重要事項説明)までに入金確認ができるように不動産屋に振り込むように指示されるケースが多いため、顧客側としては「事前に初期費用を前払いして大丈夫なの?」と不安になってしまう人が多いという訳です。

 

契約前に初期費用を入金をさせる事は違法?

ハンマー

確かに顧客の立場からすれば、内容をあらかじめ口頭で説明を受けていたとしても、実際に契約書面で内容を確認するまでは、何十万円という初期費用を振り込む事はできないと不安になるのも自然なことです。

一方で貸主側としては申込み審査が通ると、契約前に鍵の手配や部屋の清掃などを済ませてしまっています。
また正式な契約成立前であればお客様はノーペナルティーで申込みをキャンセルできてしまうので、貸主側としてはせっかく部屋の手配をしてもキャンセルされたらその手間が水の泡になってしまう可能性があります。

 

そのため「契約をする気がある」という、意思表示のような意味合いを含めて、初期費用を契約前に振込をさせる事が多くなっています。
契約前に入金をしてもらう事が違法かと言われれば、必ずしも違法とは言い切れないでしょう。
契約前に入金したお金は契約時に初めて契約金として充当される事になります。

つまり契約時まではお金を不動産屋が預り金として預かっているような状態であり、逆に契約がキャンセルとなれば不動産業者はそれを返金する必要があります。

 

ただし契約前に、もしその金銭が預り金ではなく「契約金」として授受されたのであれば、やはり業法違反を問われる可能性があると思われます。

重要事項説明前に契約が成立してしまうという事は、やはり宅建業法に違反するからです。

事前に入金をするとしても、そのお金がどのような性質のお金なのか(預り金なのか・契約金なのか)という点が争点になってくると思われます。

また預り金を預けた場合には、不動産屋から預かり証をきちんと受け取るようにしたいですね。

(まぁ、本来は預かり金も原則では禁止という事になっているので、預り金だったらOKという訳でもないんですけどね。。。)

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契約金を先に入金をしてもらう意図は?

それではなぜ不動産屋は先に初期費用を入金してもらうのでしょうか。

 

事務処理上の理由

まず第一には事務処理上の便宜を図っての目的が挙げられます。

賃貸の費用とは言え、その金額は数十万~という大金を用意するようになる事が普通です。
そのような大金を契約時に持参させるとなると顧客側からしてもリスクですし、不動産屋側からしても金銭の授受に手間がかかる可能性があります。
そのため契約前日までに事前に振込等で対応してもらうといったケースが多くなります。

 

キャンセルを防ぎたい

また中には先に初期費用を振り込んでもらう事で、あえてキャンセルをしずらくするという意図も多少は含まれているかと思います。
顧客側からすれば一度大金を振込してしまえば、そこで契約の決心を固めるケースが多いです。
よほどの事がない限り、そこからキャンセルをする事は少ないでしょう。
逆に言えばお金の移動がなければ、気軽にキャンセルしてしまう顧客も中にはいるという事です。

 

締め日の関係

店舗によっては、営業マンの歩合・ノルマ数字のための店舗の締め日の関係などで、何とか今月中の数字にしたいという場合には早めに振込をしてもらう場合もあるかと思います。
不動産営業も営業数字が重視であり、その月の業績によって自分の給与額も変わってくる事があります。

 

貸主の立場

またその他の事情として、貸主は殆どの場合、契約時には立ち会う事がありません。
そのため例えば借主が契約金を持参したとしても、それを受け取る貸主は契約の場にはいないという事になりますので、不動産屋に事前に入金してもらい預かっていてもらうという意味合いもあるのかもしれません。

 

以上のような事から契約前に初期費用を入金してもらうケースというのが多くなります。

確かにそのお金が重要事項説明前に契約金として授受されたのであれば違反となる可能性はありますが、多くの場合はそのような性質での金銭の授受は行われてはいないかと思います。

契約前の初期用の前払いは一般的な慣例のようにもなっており、その他の手続き・手配がしっかりとしていればあまり気にする必要もないのかなと個人的には感じます。

 

またどうしても契約前に入金をする事が不安であったり心配になるようであれば、契約手続きと同時に契約金を持参するような方法で手配を進めていくように不動産屋に相談してみるのも良いかと思います。

本来であればそちらのほうが正式ですし。こちらの考え方が伝われば事情に応じてくれるケースもあるかもしれません。

 

賃貸の初期費用の入金が遅れる?

賃貸の初期費用は大きな金額という事もあり、お金を期日通りに準備できなかったり振込処理の関係で遅れてしまうといったケースも人によってはあるのかもしれません。

契約をしてから初めての入金となりますので、信頼関係の構築の意味でもできれば期日通りに入金を済ませておきたい所です。

もしどうしても契約金の入金が遅れてしまうようであれば、やはり早めに不動産屋に相談をしてみるようにしましょう。

あくまで物件個別の事情や不動産屋によって対応は異なりますが、例えば事前入金の日付を指定されていたとしても、その入金日を少しずらして契約日前後まで入金を待ってもらえる事もあるかと思います。

入金が遅れてしまったからと言ってすぐに諦めずに早めに相談をするようにしたいですね。

 

手付金の授受にご注意?

泥棒の写真

顧客側が契約前の入金に不安になってしまうのは、やはり後になって返金がされない等のトラブルがあるのでは?という心配があるからだと思います。
実際にもそれに似たようなトラブル事例は過去に何度もあるため、悪質な業者には十分に注意をする必要があります。

例えば昔よくあったのは手付金の事例です。
賃貸では手付金の授受は禁止というルールになっています。
しかし契約前にキャンセルをした場合にも、それが手付金であったとして、顧客に対してその金額分の返金がなされないといったトラブルが発生した事もありました。

またそのお金が預り金であった場合でも、一部の業者が返金を拒んだとしてトラブルになったケースもあるようです。
宅建業法上でも預り金に関しても以下のような禁止ルールがあります。

宅地建物取引業法施行規則 – 第十六条の十二
宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。

つまり契約前にキャンセルをした場合、宅建業者は預り金を顧客にきちんと返金しなければなりません。

本来であれば手付金・預り金・申込金・予約金などは賃貸契約において殆ど支払う必要のないお金です。
どうしても支払う必要がある事情が別にあるのであれば、それがどのような性質のお金なのか・キャンセル時には全額返金されるのか等をしっかりと確認するようにしておきましょう。

 

賃貸契約前に初期費用を前払い?まとめ

賃貸で契約前に初期費用を前払いするケースについて挙げてみました。

契約前というのは特にトラブルが起こりがちです。

キャンセルをしたのに預り金が返金されない・違約金が発生すると言われた等、想定外のトラブルが発生する可能性があります。

せっかく苦労して見つけたお部屋ですので、契約手続きはきちんとしておきたいものですね。

それでは今日はこの辺で。

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