外国人である事を理由に入居拒否する事は違法?

今回は外国人の入居について少しだけ書いてみようと思います。

一般の方々でも入居審査においてNGが出てしまった経験がある人はいるかと思いますが、その他にも職業や国籍が原因で未だにお部屋を借りづらい人たちがいます。

外国人・水商売・無職・生活保護の方々などが一般的でしょうか

中でも外国人の入居については難しいケースも多く、大家さんによって考え方は様々ですし、中には外国人である事を理由に入居拒否する事は人権侵害である事を主張する人もいます。

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外国人の入居を断る理由?

外国人の入居を断る理由としては、家賃支払いが継続できるかの疑問(国外への逃亡も含め)・言葉が理解できるか・

近隣住民とのコミュニケーション保証人の確保が困難・生活スタンスの違い・原状回復義務が理解できるか・

一度入居を許可すると他の外国人を連れてくる→外国人専門アパートになる可能性もある、等々の事が挙げられています。

外国人入居者としては国籍差別や人種差別の声をあげる人もいて、自分の希望の部屋を借りる事が困難であったり通常の物件の2倍相当の敷金の預け入れを要求されるなどのケースもあり、差別的な意識を持っている人も多いかと思います。

 

ですがただ一方的に入居者だけの事を考えれば良いという問題でもなく、大家さん側の立場としても問題を考えなければなりません。

前述のような外国人特有のリスクもありますし、家主に対する保護が整備されていない今のような状況下では、外国人入居者と賃貸契約の基礎となる信頼関係が築けないという声もあります。
現在では建物が余っているため入居者確保が難しい状況が多く、大家としても今後は様々な入居者を受け入れなければならない状況をある程度考慮してはいるものの、現実的に受け入れるとなると諸所の問題が発生する可能性もあり、また問題が起こったとしても入居者を簡単には追い出す事は出来ないという事情もあります。

過去の判例でも

ハンマー

以前にも京都地裁で外国人入居者を拒否したとして訴訟が行われましたが、国籍理由で入居拒否したという事で外国人に対して110万円の慰謝料の請求が出ています。

損害賠償請求事件(平成19年10月2日京都地裁)

外国籍を理由に賃貸マンションの入居を拒否されたとして、京都市の韓国籍の女性が家主らに約230万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、京都地裁であった。池田光宏裁判長は「国籍を理由に賃貸借契約の締結を拒むことは、およそ許されない」と違法性を認め、慰謝料など110万円の支払いを命じた。

裁判所の意向としても少しずつ外国人入居者の受け入れに寛容になっているかのように見えます。

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本当に外国人に罪があったか

全体的な流れとしても徐々に外国人入居者を受け入れる体制が濃くなってきているように思います。

現在の国内の空き家率は10%を超え今後増々賃貸市場が縮小していく事は確実です。
外国人を始め、様々な属性の入居者を受け入れなければ賃貸市場は増々厳しくなっていくでしょうし空き家も増えていくでしょう
不動産屋としても仲介業者は苦戦を強いられるかと思います。

 

また大家が外国人入居者を拒否する理由として意外に多いのがそのイメージです。
外国人=滞納や逃亡・文化の違い・トラブルのイメージを持った大家さんが多くいます。

しかし一概には言えませんが意外に外国人入居者は平穏に滞納を起こす事なく生活できる人が多いものです。

彼らは日本において外国人が部屋を借りる事の難しさを知っています
退去させられたら次の部屋が見つかるかわからないという意識を常に持っているので、大家さんにとってもその点は大きな担保になるかと思います。

また外国人だからと言って面倒くさがったり消極的にならず、最初からしっかりと日本の慣習や生活スタイル・お互いの考え方等についてよくコミュニケーションを取っておく事が大切です。

例えば契約書1つ取っても外国人向けの賃貸借契約書等の雛形もありますしパンフや冊子を用意している所もあります。
専門用語が多くなりがちな賃貸契約を出来るだけ平易に説明してあげる事も大切ですし、ルールを最初にしっかりと説明しておく事は大切です。

 

また外国人入居の場合、本人に悪意がないのにルール違反を指摘されるケースも意外にあります。
例えば日本で当たり前と思われている慣習や生活ルールでも、海外ではそうではありません。
賃貸契約1つにおいても、部屋を借りる際に日本では当たり前と思われている敷金や礼金・更新料といった名目でさえ、外国人には理解が難しい事もあります。

彼らが日常的に良識をもって当たり前のように行っている事が、日本ではマナー違反である事もあるのです。
この点からしても、最初の段階でお互いにしっかりと打ち合わせをし、意識やマナーの食い違いが生じないように手配しておく事が大切かが分かります。

 

またこの手の問題が挙げられると、大抵は外国人が問題の根源としてフォーカスされるケースが多いものですが、実際には受け入れる大家さん側に問題がある場合もあります。
一概には言えませんが、外国人だからと言って家主側があまりにも保守的に考えてしまい過ぎるケースも多いのです。

もちろん自分の建物を貸す訳ですし、他の入居者にも影響が出る可能性もありますから、審査に慎重になるのは分かります。
ただしとは言っても例えば日本人だからと言って必ずしも問題が起きないかと言えばそうではありませんし、逆に外国人でも日本人以上にマナー意識をしっかり持った人も多いものです。

要はその人次第といった所なのですが、最初(審査)の段階で外国人=NGといったフラグを立ててしまう家主が意外に多い事に気付きます。

固定観念や思い込みを捨て、一入居者として改めて外国人と接していく必要があるのではないでしょうか。

外国人が部屋を探すには

また外国人入居者が部屋を借り入れる場合、日本人の契約者や連帯保証人の提供を求められる事も多いですが、日本人に知り合いのいない外国人や留学生には保証人の確保が難しい場合もあります。

そうなると保証会社利用という事になりますが、現在の保証会社は外国人自体の受け入れが難しかったり連帯保証人の確保を要求してきたりと、まだまだ外国人がスムーズに利用できるシステムになっているとは言い難い部分もあります。
現在では外国人専門の家賃保証会社も出てきていますので、それらを当たってみるのも良いでしょう。

また外国人が部屋を探す際には外国人専門の不動産屋に行ってみるのも一手かと思います。
事前に外国人OKの物件を多めに揃えていたり家主のOKが出ている物件も多かったり外国語専門スタッフがいたりと比較的話もスムーズにいくかもしれません

 

また外国人の方々が部屋を探す際に大切なのは、「根気強くアタックする事」です。
当たり前の事と思われるかもしれませんが、これが一番大切かと思います。

図面に出ている情報やネットで掲載されている情報というのは所詮は表面的な内容に過ぎません。
実際にはその家の所有者の性格や考え方も様々。“とりあえず”「外国人不可」としているケースもとても多いです。

ですから不動産屋等に行き、思い切って話をしてみて自分がその部屋にどうしても住みたいという想いを家主側に伝えれば、意外に話が好転していくケースもあります。もしくは担当者が他の部屋を紹介してくれるケースもあるでしょう。
諦めずに何度もアタックするようにしたいですね。

 

今後外国人入居者を含め水商売の方や無職の方などもある程度の条件の下で受け入れをしていかなければ入居率は下がる一方です。

いつまでも外国人受け入れのリスクを考えているよりは、入居した後のリスク防止策をその都度講じて入居率や経営スキルを上げていったほうが賃貸経営としても懸命な感じもします。

事前の整備・対策を敷いておいたほうが良いのかもしれませんね

今回は外国人の入居拒否について挙げてみました。

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