神経質な隣人がいて迷惑してるって?合法的に追い出す事はできる?

今回は隣人問題について書いてみようと思います。

生活をしている以上、隣人問題は避けては通れない問題ですね。

特にアパートやマンションなど、集合住宅に住んでいる人にとっては隣人との付き合いや普段の生活マナーが大切になってきます。

またお互いに普段から気を付けているつもりでも、ちょっとした事からトラブルに繋がってしまったり、隣人と揉め事を起こしてしまい、近隣住民との付き合いがややこしくなってしまう事もあります。

スポンサーリンク

神経質な隣人

マンションやアパート等で集合生活をしていると、神経質なくらい苦情を言ってくる人や迷惑行為を繰り返す人がいるものです。

これは集団生活に関わらず会社等の組織も同様で、必ずと言っても良いほど1人は足並みを乱す人や、周囲に迷惑をかける人が出てきます。

 

またそのような人は大抵は何を言われてもあまり気にしない人もいます。

神経質な人が隣人になると「歩く音がうるさい」「子供の泣き声がうるさい」「テレビのボリュームを下げろ」「トイレや台所の水流の音がうるさい」「子供がうるさい」等、様々な苦情を言ってきます。

 

またひどい場合には少しでも隣の部屋から生活音がすると、壁ドン・床ドンしてくる人もいます。

または天井の上階や床下の下階から棒でズンズン叩くケースや、わざとドアを大きな音を立ててバタンと閉める等、とにかく相手が嫌がるような事を平気でやってきます。

上記のような嫌がらせであればまだしも、実際に隣人トラブルがエスカレートして殺人事件にまで発展したケースもある事から、出来るだけ慎重に対処をしていきたい所です。

 

またそのような神経質な人が隣人の相手をしていると、毎日の事なのでこちら側の精神がまいってしまい、神経までも過敏になってしまう事が多く、部屋の中にいても常に緊張感から解き放たれない硬直状態が続く事もあります。

やはり生活の場である住居が落ち着けない場になってしまうという事は、健康にとっても良い事ではありません。

神経質な隣人がいる場合にはどのように対処をするのかよく検討する必要があります。

 

神経質な隣人にどのように対処をするか

さてこのような神経質な隣人にはどのように対処をすれば良いでしょうか。

このような神経質な人に注意をする手段としては、一般的には以下のような対処が考えられます。

 

  1. 自分で直接言う
  2. 管理会社を通して注意してもらう
  3. 管理組合を通して貸主や理事長に注意してもらう
  4. 警察や民生委員に頼る

 

まずとして、直接隣人に注意をしに行くケースも考えられます。

確かに実際にお互いに顔を合わせて話をすると、意外に双方の誤解が解けて解決に向かうケースも考えられますが、とは言え直接言って逆にトラブルが余計にこじれる可能性もありますし、クレームが更に激しくなる可能性もあります。

近くに住んでいるとは言え、やはり直接言いに行くのはお勧めは出来ません

 

またとして管理会社を通して注意してもらう事は出来るかと思いますが、これも積極的な注意をしてもらえるかどうかは難しい所です。

一般常識のある隣人であれば管理会社から注意があると素直にその警告を聞いてくれることもありますが、そもそも故意に迷惑行為をしてくる隣人がそのような良識を持ち併せているかどうかは分かりません。

また管理会社によって注意の方法は様々で、最初は建物内に注意喚起の張り紙を貼ったり、ひどい時は入居者に直接注意する事もありますが、神経質者も一応は賃料を支払っている入居者である手前、管理会社としてもなかなか積極的な指導はできない場合もあります。

管理会社の人間は当然にその建物内には住んでいない為、普段どのような騒音があるか等の具体的な状況を正確に把握しておらず、責任割合を決めにくい部分もあるでしょう。

 

として管理組合に相談する手もありますが、組合でさえ神経質者を追い出せるような権利は持ち合わせていません。

貸主に関しては借主と賃貸借契約を締結しており、信頼関係が崩壊したと認められる事由があれば契約を解除する事はできますが、よほどのケースでなければ認められません。

残念ながらどんなに神経質なクレーマーでも借主である権利は持ち合わせており、簡単に退去させる事はできないのが実際です。

 

最後にとして警察や民生委員に頼るケースも考えられます。

警察に言えば隣人に対して注意をしてくれる事もありますし、夜間の周辺パトロール等をしてくれる事もあります。

また民生委員に関しても相談に乗ってくれたり対応機関を探してくれる事もあるでしょう。

しかし決定的な対処が講じられるかどうかと言えば、それも不透明です。

 

上記のどのような人さえ、よほどの事が無ければ借主を簡単に追い出すという事は出来ません。

まして集合住宅等のように生活音が日常的に起こる場所ではどちらが悪いのか責任割合を正確に決める事も難しいものです。

悪質な人であれば当然にこのような事も理解しているため、敢えてグレーとも取れる行動に出ることもあります。

スポンサーリンク

隣人を合法的に追い出すことはできる?

上記は基本的な対処方法になりますが、それでは神経質で迷惑な隣人を合法的に追い出すことは出来るのでしょうか。

合法的に退去してもらうと考えると、やはりその元となっている賃貸借契約の部分から検討するのが妥当かと思います。

 

神経質な隣人の場合には、そのトラブルの元になっているのはやはり「音」であるケースが多いです。

壁ドンや床ドンはもちろんですが、普段のテレビやラジオの音・音楽のボリューム・水を流す音など、神経質な隣人はささいな音にも敏感に反応して抵抗してくる場合があります。

 

賃貸借契約においては、貸主は借主に目的物を使用収益させる義務を負い、借主は契約で定められた使用目的や使用方法の範囲内で物件を使用する義務があります。

もし貸主から賃貸借契約を解除するにはお互いの信頼関係が崩壊したと見なされる程の理由が必要です。

 

神経質な隣人が騒音を出していて、近隣の迷惑となる行為を繰り返しており、この騒音が一般的に受忍すべき限度を超えている場合には、マンションなどの「共同生活上の秩序を乱す行為」に該当すると考えられます。

またこのような迷惑行為が続き、他の住人が退去しなければならない程の被害があれば、それは貸主と借主(神経質な隣人)との信頼関係の崩壊とみなされる可能性も出てきます。

 

過去の裁判例においても、このような隣人の騒音問題から、契約解除が認められた事例があります。

(東京地判 平10・5・12 判時1664-75)

マンションの賃借人が、隣室から受忍限度超える騒音が発生していないのに発生しているとして嫌がらせ行為を続け、隣室の住人に立退きを余儀なくさせ、賃貸人に損害を与えた場合、賃貸借契約の信頼関係が破壊されたとして、賃貸人の契約解除、建物明渡しの請求を認容した事例

このケースでは、騒音が発生していないのに発生したと言い張り、近隣に対して迷惑行為を何度も行い、結果的に隣室の居住者を退去させた借主に対して、信頼関係が崩壊したとして契約解除を認めた事例です。

 

賃貸借契約においては借主保護の色が強いことから、隣人を合法的に退去させる事は簡単ではありませんが、受忍限度を超える騒音や迷惑行為があれば、このように貸主からの契約解除が認められる可能性もあります。

またもし騒音が発生しているようであれば自分だけでなく周囲の隣人にも状況を伺い、複数人で交渉に臨んだほうが効果が上がりやすいかもしれません。

 

引っ越しを検討するのも一考

神経質な隣人がいて、どうにも対処ができない場合、自分が引っ越しをする事も検討してみるのも一考です。

確かに自分が全く悪くないのに、引っ越しをするなんて到底納得できないでしょうし、引っ越し費用を負担するのは納得できない気持ちは十分にわかります。

ですが無理に実力行使に出れば、こちらがケガをしてしまう可能性もありますし、そのような人は付き合うだけ損をするのは自分です。

現実にはどんなにあがいても解決ができない問題というのも存在します。

 

少し発想を変えてみて、自分の大切な「時間」「精神的な落ち着き」を取り戻せるのであれば、今回は運が悪かったと気持ちを割り切り、思い切って引っ越しをしてしまうのも一つの方法かと思います。

生活の中心となる住居が不安定な場合、部屋内の日常生活だけではなく睡眠障害や健康・仕事への支障をきたす恐れもあります。

どうしても隣人問題が解決しないようであれば気持ちを割り切って再スタートを切ることを考え、まずは自分が気持ちよく過ごせる環境を新たに探してみるのも良いでしょう。

 

隣人は本当に悪人かどうか

ただし今一度冷静になって考えてみたいのは、本当に隣人が悪いのかどうかという事です。

中には理由が他に存在する場合もあります。

 

例えば音のトラブルでよくあるのが建物の構造上の問題です。

特に築古の木造アパートなど、壁間のボード等が元々かなり薄く、ちょっとした物音や振動でも隣室に伝わってしまう事があります。

そのような建物構造の場合、その隣人に悪意はなくても、嫌がらせでは?と勘違いのイメージを抱いてしまうケースもあります。

特に最近の集合住宅等ではお互いの顔や性格も知らない事が多いため、余計に妄想が膨らんでしまう事もあります。

 

また一度でも人を疑ってしまうと、自分の中でその隣人の人物像や悪人イメージが固まってしまい、実際にはちょっとした物音でも隣人がわざと物音を立てていると誤解してしまうようなケースもたまにあります。

トラブルを抱えている精神状況では冷静な判断が難しく、隣人が犯人と一度決め付けてしまうとそのイメージから抜け出すのは意外に難しいものです。

 

一度直接隣人と話してみたら意外に悪い人ではなかった…という例も実際には多いのですが、なかなかそのような話し合いの席を持つ事は難しいもの。

もう一度冷静になってみて隣人に悪意があるのかどうか考えてみる事も必要なのかもしれません。

 

不動産屋に説明責任は?

さて賃貸で部屋を契約した際には不動産屋が仲介に入っているかと思いますが、もし不動産屋がそのような神経質な隣人がいる事を知っていた場合、説明責任は発生するのでしょうか。

不動産業者は借主の契約判断に重要な影響を及ぼす事実は入居時に借主に説明をしなければなりませんので、このような隣人のケースも説明責任があると考える人もいるのかもしれません。

 

今回のようなケースは微妙なケースでもあり、業者に説明責任があるかないかは判断が分かれる部分もあるかと思いますが、一般的な回答としては神経質な入居者という事については説明責任はないと捉えるのが多数派のように思います。

その理由としては、”神経質”とは言ってもそれは人の捉え方1つで変わる事でもあり、また神経質という性格や性質は人権やプライバシー保護の観点から、不動産業者側としても表立って説明する事は難しいようにも思います。

 

しかし神経質な入居者がいる事が原因で、その隣室や周囲の部屋で過去にトラブルが起きていたり、周囲の部屋の入居者が短期間で退去している等の事実があった場合には、それは借主の判断に重要な影響を及ぼす事実に該当するかと思いますので、不動産業者は借主に対してそのようなトラブルや事実があった事を説明しなければならないでしょう。

そして事実を説明した上で借主にその部屋を借りるかどうか最終判断を下してもらう事が通常かと思います。

 

隣人が騒音に神経質な場合まとめ

隣人問題は解決が難しい問題も多いですね。

昔のように近隣住民同士で顔見知りであれば多少の解決の糸口も見つけやすい場合もありますが、現在ではそうもいかない事があります。

また騒音問題等では入居者としても冷静な判断力を失い、突発的なトラブルに発展しがちですので落ち着いて対処をしたい所です。

出来れば問題が深刻にならないうちに早期解決を目指し、気持ちの良い生活をしていきたいですね。

それでは今日はこの辺で。

スポンサーリンク