大家が不法侵入?無断で入室できる条件とは

今回は大家さんの室内への入室について挙げてみたいと思います。

賃貸での生活を長くしている人であれば、室内に誰かが侵入してきた経験を持つ人も中にはいるかもしれません。

特に自分の留守中に大家さんに勝手に入室されたという人もいるかと思います。

確かに契約上の貸主ではあるものの、このように借主に無断で入室することは許されるのでしょうか。

スポンサーリンク

大家さんが不法侵入?無断で入室できる?

大家さんが借主に無断で室内に入ったというケースは実際にはさほど珍しいケースではありません。

例えば

  • 室内の様子が気になった
  • 設備等の修繕のため
  • 留守かどうか確認のため
  • 郵便物のチェック

など様々な理由を付けて部屋に入ってくるケースがあるようです。

 

本来、例え貸主(大家さん)であったとしても、借主に無断で室内に入ることはできません。

いくら部屋が大家さんの所有であっても、賃貸として借主に貸している以上は借主の権利を考慮しなければなりません。

もし勝手に侵入をしたとすれば、住居侵入罪(刑法130条)等の罪に問われる事もあるでしょう。

 

例えば賃貸借契約書に「賃貸人は必要がある場合には、賃借人の承諾なく貸室内に立ち入ることができる」といった特約が付されている場合であっても、やはり原則としては借主の同意を得なければ入室することは出来ません。

また実際問題としてこのような特約がある事を元に、大家さんが入室を試みるケースはありますが、その際であっても借主の連帯保証人緊急連絡先の指定人・もしくは警察等に一緒に入室時に立ち会ってもらう事が一般的であり、いずれにしても大家が一人で無断入室するという事は控えるべきです。

 

このような無断入室があった場合、上記の不法侵入罪器物損壊・窃盗などの疑いをかけられてしまう可能性もあり、また大家は合鍵を持っていることも多い事から、できるだけ誤解を受けるような行為は慎むべきと言えるでしょう。

 

大家が無断で入室できる条件とは

それでは大家さんが無断で入室できるケースはあるのでしょうか。

 

考えられるケースとしては、「緊急事務管理」として入室する場合が考えられます。

事務管理とは、法律上の義務のない者が、他人のためにその他人の事務を処理することを指しています。(民法697条)

簡単に言えば、「他人の事務をやる義務はないが、好意で他人の事務をすること」という意味があります。

 

そして本人の身体、名誉、財産に危機が差し迫った緊急時には、借主の承諾なしに室内に入ることができます(緊急事務管理)

緊急事務管理の例を挙げるとすれば、「借主の留守中に室内から焦げ臭い匂いがしたので、大家が室内に入り火元を消した」といった行為が挙げられます。

他にも火災やガス漏れ・急病の看病の時なども同様の事が言えるでしょう。

 

部屋を貸している以上は、家主としても借主の安否が気になったり緊急時にやむ負えなく立ち入る事はあると思います。

ですがやはり無断で室内に侵入して良いのは事務管理として入室するなど一部のケースのみであり、理由もなく借主に無断で室内に入ることは許されません。

立会いなしに無断で入室した場合には借主から損害賠償請求を起こされたり告訴される可能性もありますので、十分に注意したい所です。

スポンサーリンク

借主が家賃を滞納している場合は?

それでは借主さんが家賃を滞納している場合はどうでしょうか。

大家さんとしてはすぐに鍵を付け替えて、借主を追い出したいと考える人もいるはずです。

 

ですがいくら借主が家賃を支払っていなかったとしても、大家さんが強引に借主を追い出すことは「自力救済」として禁止されています。

そのためこの場合であっても大家さんは正当な手続きを踏む必要があり、もし借主が明け渡しに応じない場合には、明け渡し訴訟等の法的手段で退去・明け渡しを求め、裁判所から明け渡し命令を言い渡してもらう必要があります。

 

そして強制執行の申し立てにより、借主の許可を得ることなく部屋の中に立ち入ることが出来るという流れになります。

ですが実際には訴訟を考えるとなると手間も時間もかかるため、やはり家賃滞納が発覚した時には早期に解決を求めていく事が大切です。

 

感覚のズレから生じることも

最近ではこのように大家さんの無断入室が問題になる事もあります。

借主さんからしてみれば無断で入室する等、考えられない行為だと思う方も多い事でしょう。

 

ですが大家さんの中にも色々な性格の方がおり、年齢的にも中高年・高齢者の方々も多くいます。

中にはあまり細かい事を気にしない方もいたり、権利関係やルールに少し無頓着な人がいてもおかしくはありません。

また世代間の考え方のズレや、感覚の違いからトラブルが生じる可能性もあります。

通常の賃貸借契約では契約時から退去時まで、貸主と借主が一度も顔を合わした事がないというケースも多く、入居中もお互いの意思の疎通はほとんどありません。

 

そのため大家さんとしては善意でやったつもりでも、借主さんからしてみればマナー違反と感じる事さえ多々あるのかもしれません。

コミュニケーションが希薄になりつつある現在では、このようなすれ違いは今後も増えてくるように思いますが、出来るだけお互いの立場を配慮した行動が求められます。

 

大家が不法侵入?無断で入室できる条件まとめ

大家さんの室内への侵入について挙げてみました。

なかなか難しい問題ではありますが、やはり基本的には大家さんは無断で室内に入ることは出来ません。

自分の所有する建物であっても借主と契約を交わしている以上は、借主の権利を侵害することも出来ないことになります。

貸主と借主の付き合い方というのは難しい問題でもありますが、それでも契約を交わしている以上はお互いの権利・義務を守る必要があります。

お互いのルールをしっかりと守ることが大切ですね。

それでは今日はこの辺で。

スポンサーリンク