賃貸で大家に更新を拒否された?立退料はいくら?

今回は賃貸で大家さんに更新を拒否された場合について挙げてみたいと思います。

賃貸では通常は2年程度の契約期間を設定し、更新をしていく形が一般的です。

更新時期が近づくと、借主さんも更新手続きをする準備をし、また更新料の支払いの用意もしている事でしょう。

ですがもし大家さんから急に更新を拒否された場合はどうでしょうか。

借主さんからすれば急な更新拒否の申し出に、住む場所に困ってしまう事もあるかもしれません。

スポンサーリンク

賃貸では更新を拒否できる?

それでは賃貸において、大家さんから簡単に更新を拒否することはできるのでしょうか。

結論から言えば、大家さんは特別な理由もなく更新を拒否することはできません。

普通借家契約では、借主さんが引き続き建物の使用を希望した場合には、大家さんは原則としてその契約更新を受け入れなければならない事になっています。

借主さんは借地借家法という法律で保護されており、大家さんが更新を拒絶できるのは「正当事由」がある時に限られます。

大家さんによっては、意外と自己都合で安易に更新を拒否してくる人もいますが、実際の法律上では許されることではありません。

 

更新拒否に必要な「正当事由」とは

書類

それでは賃貸で大家さんが更新を拒否できる正当事由とはどのような理由が挙げられるでしょうか。

正当事由の有無は、以下のような項目の条件を満たしているかどうかで判断をされます。(借地借家法28条)

  1. 大家さんと借主さんがその建物を必要とする事情(借主さんと大家さんが、どれほどその建物を使用する必要性があるか)
  2. 建物の賃貸借に関するこれまでの経過(借主が建物を借りるに至った経緯など)
  3. 建物の利用状況(過去に借主に近隣トラブルや用法違反があったか等)
  4. 建物の現況(建物の老朽化の程度はどれくらいか等)
  5. 立退料の有無(大家さんから立退料の提案はあるか)

 

実際問題として、更新を拒否できるほどの正当事由が認められるのは、簡単な事ではありません。

例えば「建物の老朽化が進んでいる」「周辺相場よりも家賃が安いから」等といった理由だけでは正当事由として認められない可能性も高く、単に大家さん側の事情・都合だけでは正当事由として認められないと判断されることも多いです。

こればかりは最終的には裁判所で判断するので、一概には言えません。

 

例えば大家さん側で更新を拒否する正当な理由があり、かつ借主さんが家賃の滞納や用法違反があった等、過去にお互いの信頼関係を損なうほどの行為があれば正当事由として認められる可能性は高まります。

もしくは大家さんの正当事由に加えて、借主さんに対し立退料の提供をする準備があれば、正当事由として認められるケースもあるかもしれません。

つまり個別の事情を総合的に勘案して決定されるため確実なことは言えませんが、大家さんからの更新拒否が認められるのは容易な事ではありません。

スポンサーリンク

更新をしない旨の通知も必要

郵送書類

上記のような正当事由があれば、大家さんは更新拒否ができるかと言えば、そうとも言えません。

大家さんは契約期間が終了する1年前から6か月前までに借主さんに対して、契約を更新しない旨の通知をする必要があります。

もし大家さんが通知を忘れてしまった場合には、今までと同じ条件で契約が更新されることになります(法定更新となり更新拒否できない)。

 

ではもしこの契約が普通借家契約ではなく、定期借家契約であった場合はどうでしょうか。

定期借家契約の場合には期間の満了により契約は終了します。

大家さんは期間満了の6か月~1年前までに契約満了により契約が終了する旨を借り主さんに通知しておかなければなりません(1年未満の契約では不要)

 

もし大家さんが借主さんに通知しなかった場合は、契約期間が満了しても契約が終了したと借り主に主張することは出来ませんので注意が必要です。

なお、通知期間が経過した後に通知をした場合には、その6か月後に契約が終了します。

 

更新を拒否する場合の立退料はいくら?

それでは賃貸で大家さんが更新を拒否した場合の立退料の相場はいくらくらいになるのでしょうか。

確かに立退料の提供は大家さんの正当事由を補強する意味合いもありますが、必ずしも立退料が必要になるとは限りませんし、また立退料を提供したからと言って正当事由として認められるとも限りません。

 

世間的には立退料は家賃の6か月分とか、12か月分等といった話が出ることもあるようですが、立退料を算定するようなルールや計算式は存在しないのが実際です。

大家さんや借主さんの建物使用の必要性や、立ち退きによって借主さんに発生する経済的な損失金額など、様々な事情を考慮して立退料の金額が決定される事になります。

 

よく立ち退きの話が持ち上がると、借主さんの中にはここぞとばかりに高額な立退料を請求してくる人もいます。

どの辺りに落とし所を持っていくかは双方の話し合い次第にもよりますが、話が進展しないようであればケースによっては弁護士等に相談をし裁判所をを利用する方法も一考かと思います。

 

賃貸で大家に更新を拒否された?まとめ

賃貸で大家さんに更新を拒否されたケースについて挙げてみました。

借主さんにとっては突然更新を拒否されたとなると慌ててしまうかもしれませんが、先ほどにも挙げたように更新拒否には事前の通知が必要です。

また更新拒否が認められるためには大家さんには正当事由が必要となり、それが認められるのは簡単なことではありません。

一方で大家さんとしても更新を拒否する場合に、借主さんから高額な立退料を要求されているというケースもありますので、自己解決が難しい場合にはしかるべき機関等に相談を持ち掛けてもよいかと思います。

 

また最近では賃貸でも「更新料なし」の物件も増えているようですね。

初期費用が安くなるのは借主さんにとっても利点ですが、中にはデメリットが潜んでいる場合もあるようです。

こちらの記事も参考になります。

参考記事:「更新料なし」物件の6つのデメリット

 

更新を拒否するというのはよくトラブルになりがちですが、借主さんと大家さんができるだけ双方の立場を考慮して、解決に臨みたいものですね。

それでは今日はこの辺で。

スポンサーリンク