賃貸の仲介手数料の上限は?トラブルになるケースを解説

今回は賃貸の仲介手数料の上限について挙げてみたいと思います。

部屋探しをする時には不動産屋さんを利用する事が一般的です。

不動産屋が貸主と借主の間に入り、賃貸契約を成立させることを「仲介」と言います。

そのため不動産屋に行ってお部屋を紹介してもらった時には、借主さんは不動産屋へ仲介手数料を支払うことになります。

ですが最近ではこの仲介手数料の金額も不動産屋によって様々であり、上限金額も曖昧なイメージになってきているようです。

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賃貸の仲介手数料の上限は?

それでは仲介手数料の上限はどのくらいになるのでしょうか。

まずは基本となる宅建業法から見てみます。

宅地建物取引業法 第46条

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は賃借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。

つまり仲介手数料の上限は国土交通大臣の定めに従っているようです。

 

それではその国土交通大臣の定めを見てみると

貸借の媒介に関する報酬の額

宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、(中略)当該宅地又は建物の借賃の一月分の1.08倍に相当する金額以内とする。

この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の0.54倍に相当する金額以内とする。

なんだか難しそうな文が出てきましたが、要するに不動産屋さんが貸主・借主の双方から受け取れる報酬の合計額(上限額)は、家賃の1.08か月分以内という事・また原則として貸主と借主から半分ずつの報酬としてください、という事が書いてあります。

 

ですが多くの不動産屋さんでは借主さんから1か月分まるまるの仲介手数料を取っている会社が多いように思います。

本来であれば、上記に記載されているように「当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き」とありますので、借主から一か月分の仲介手数料を取るのであれば、事前に借主さんの承諾を得る必要があります。

 

ですが実務的には不動産屋さんからこの辺りをあまり詳しくは説明されずに、サラっと一か月分支払う流れになるケースが多いかと思います。

ここではこの点についてはこれ以上は触れませんが、要は「仲介手数料は家賃の1.08か月分が上限であり、基本的には貸主と借主が折半して支払うものですが、本人たちが納得しているのであれば1か月分丸々どっちかが負担してもいいですよ」という事になります。

 

仲介手数料の上限以上の費用が発生するケースとは?

上記のように、借主さんが賃貸契約時に不動産会社に支払う費用は仲介手数料のみです。

そのため、もしその他に不動産会社側に別の費用が発生したとしても、不動産会社がその費用を借主さんに請求する事はできません。

そのような費用も基本的には仲介手数料に含まれていると考えられるからです。

 

ですが一部の例外があり、「依頼者の特別な依頼に基づき発生した広告費用等の実費」については、請求することが認められています。

例えば借主さんが特別に希望して出稿した広告宣伝費用などがこれに挙げられ、このような費用は仲介手数料とは別に借主さんに請求することが出来ます。

ただしこの場合でも、以下のような条件を満たしている事が必要です。

  • 依頼者の依頼に基づいて発生したものであること
  • 実費であること
  • 通常の仲介業務では発生しない費用であること

繰り返しになりますが、仲介手数料の上限は決められています。

このように仲介手数料以外の費用を請求される事は稀なケースであり、これに準じて悪質な費用を徴収しようとする業者も一部では存在するので注意が必要です。

 

賃貸の仲介手数料の上限に消費税はかかる?

それでは賃貸契約の仲介手数料において、消費税はかかるのでしょうか。

賃貸契約では様々な費用がかかり、また金額も高額になりやすい事から、消費税がかかるのかどうか不安に思う方もいるかと思います。

消費税においては以下のように費用項目により異なります。

  • 家賃:(課税されない)
  • 敷金:(課税されない)
  • 礼金:(課税されない)
  • 管理費・共益費:(課税されない)
  • 仲介手数料:(課税される)

 

上記のように賃貸の仲介手数料にも消費税はかかります。

モノに限らず事業者が提供するサービスには消費税が課税される事になり、仲介手数料は不動産業者が法律に基づいて行なう仲介業務の対価ですので消費税も課税される事になります。

賃貸であればともかく売買だと更に高額な取引となってきますので、仲介手数料で発生する消費税額にも注意しておきたいですね。

 

仲介手数料が半額・無料の理由は?

最近では仲介手数料が半額となっていたり、中には仲介手数料が無料という不動産屋さんも出てきました。

仲介手数料は不動産屋の大事な利益のはずです。

仲介手数料を半額や無料にしてしまって、経営が成り立つのでしょうか。

 

不動産屋で仲介手数料が割引されるのは、主には以下のような理由があります。

  • 大家さんから広告料をもらっている
  • 他の費用やオプションで上乗せしている

 

まず物件の契約が成立すると、大家さんから広告料をもらえる場合があります。

物件にもよりますが、広告料の金額としては家賃の0.5~2か月分くらいが多いかと思います。

借主さんの仲介手数料を無料にしたとしても、大家さんから広告料をもらえるので、不動産屋は利益が出ることになります。

もちろん全ての物件に広告料が出る訳ではなく、人気のある物件や新築物件などは広告料が出ない事もありますので、その場合には無料にはせず何割か割引して仲介手数料をもらうか、他の物件を優先して紹介する等、不動産屋によって対応は様々です。

 

また他の費用やオプション費用を上乗せしている場合もあります。

例えば鍵交換費用や害虫駆除費用・ハウスクリーニング費用など、他の費用で利益を出すことです。

その場合には仲介手数料が半額~無料であったとしても、単純に他の費用の中に仲介手数料分が含まれているだけですので、借主さんが支払うトータル金額はあまり変わりません。

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仲介手数料の相場は?

仲介手数料の相場はやはり家賃の一か月分(1.08か月分)の業者さんが多いです。

先ほども挙げたように仲介手数料半額~無料の不動産屋さんもありますが、まだまだ一か月分が多いかと思います。

特に地場の不動産屋さんなど昔からあるような所では1か月分丸々取られる所が多いでしょう。

賃貸物件に関しては、同じ物件をどの業者さんでも取り扱いができる事が多いので、マナー違反にならない程度に手数料の低い不動産屋さんを探してみるのも良いかと思います。

 

ちなみに敷金や礼金の相場は1~2か月分が相場となっていますが、最近では物件余りもあり敷金礼金が低めの物件も増えています。

トータルの初期費用の相場としては家賃の4.5~6倍くらいの金額に収まることが多いです。

例えば家賃6万円の物件であれば、27~36万円程度の初期費用になるでしょう。

 

仲介手数料はいつ支払う?

仲介手数料は契約成立時に支払うことになります。

そのため内見しただけの場合や、審査までいったけど審査に落ちたという場合にはもちろん仲介手数料は発生しません。

また契約が成立する前に仲介手数料を徴収しようとする不動産屋さんもあるようですが、仲介手数料は契約を仲介した成功報酬なので、契約が終わってないうちは払うお金ではありません。

ただ実際には契約日前に事前に振込をしてもらうように言われる不動産屋さんも多いかと思いますし、場合によっては契約日当日に持参でいいところもあります。

詳細は不動産業者によって異なりますので事前にきちんと確認をしておきましょう。

 

賃貸の仲介手数料におけるトラブルとは

賃貸取引において、仲介手数料や申込金がトラブルとなる事もあります。

仲介手数料が原因となるトラブルには、例えば以下のような例が考えられます。

  • 仲介手数料は1か月分と決められている→貸主・借主の双方で1か月分が「上限」であり、それ以下の額でもかまいません。
  • 上限額以上の仲介手数料を請求された→上限額が決められています。
  • キャンセルしたのに申し込み時の預り金を返してもらえない→キャンセル時には預り金の返金が必要です。
  • 仲介手数料以外のコンサル費用を請求された→依頼したのが仲介業務のみであれば支払う必要はありません。

 

また不動産業者によっては、仲介手数料の他に契約事務手数料を徴収しようとする業者もあります。

本来であれば、契約にかかる事務費用や書類作成費用も仲介手数料の中に含まれていると考えられますので、契約事務手数料は支払う必要のない手数料です。

通常の取引では発生しない特別な費用で借主さんが承諾したものでない限り、このような費用が発生する事はありません。

もし仲介手数料以外にもこのような手数料を同時に請求されるようであれば、他の不動産業者を検討した方が良いかもしれませんね。

 

店舗・駐車場の仲介手数料は?

店舗の仲介手数料も貸主と借主の双方からあわせて賃料の1ヶ月分が上限となっています。

ですが店舗・テナントの場合には内装造作や厨房機器の譲渡等につき、他にも手数料を取られるケースがあるのでよく確認する必要があります。

また駐車場の仲介手数料は、宅地建物取引業法について適応対象外となっています。

ですが一般的には駐車場賃料の1か月分程度の仲介手数料となっている所が多いように思います。

なお、例えば住居と駐車場を両方借りる時に、住居分と駐車場分の仲介手数料がそれぞれ発生するケースが多いでしょう。

 

賃貸の仲介手数料の上限まとめ

賃貸の仲介手数料の上限やその他の事項について挙げてみました。

一般の方は引っ越しというのは頻繁に行うものではありませんし、仲介手数料を支払うような機会もあまりない事から、いざ契約となると混同してしまう事もあるかと思います。

ですが仲介手数料のルールは全国どの不動産業者であっても同一であり、それ以外の費用を求められる事は一部例外を除き、ありません。

もし不明な点があればお金を支払う前にしっかりと説明を求めるようにしたいですね。

仲介手数料の金額に見合うような、きちんとした仲介を行ってくれる不動産屋さんを選ぶようにしましょう。

それでは今日はこの辺で。

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