戸建の庭の手入れは誰がする?

今回は戸建の庭の手入れについて書いてみようと思います。

持ち家派だけでなく、賃貸派の皆さんの中にも戸建に住んだ経験がある人も

いるかと思います。庭付きの家だとちょっとしたガーデニングを楽しむ人も

いるでしょう。

今のように寒い時期は良いですが夏場の暑い時期は草が生い茂り、手入れが

大変ですね。雑草だけではなく害虫も発生する事が多いことから、嫌がる人も

多いのではないでしょうか。

私も昔に古い戸建物件に住んでいた事がありますが、毎年のように草刈を

していたものです。除草剤を撒いてしまえばと思った事もありますが庭には

苗木を植えていた事もあり、面倒ではありますが毎年のように草刈をしていました。

さてそんな庭の手入れではありますが、これは貸主・借主のどちらが行うのが

良いのでしょうか?

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苦情に繋がることも

庭の手入れをしていない場合、放置しておくとそれが苦情に繋がることもあります。

まず客観的に見て雑草が手入れされていないというのは見た目的にもよくありませんし、

周囲の人でも気にしている人はいるかもしれません。またもし万一火災などが起きた時には

その雑草から火が燃え広がる可能性すらあります。また外から建物が見えないくらいに

雑草が生い茂っている場合には、視線がさえぎられる為、空き巣などの犯罪に繋がる可能性

も否定できません。

または害虫が発生してしまったり、雑草や木の枝が隣家にはみ出していると隣人

性格によっては気になるという人もいますし、枝が交通の妨げになる・木や枝にぶつかって

通行人のケガ物損事故に繋がる可能性もある事から、隣人に勝手に切り取られてしまう

事もあります。庭の手入れの有無というのは、意外とその居住者の「性格」が表れる

ものです。考えてみれば建物以外の部分では外から目に見える部分は庭が大半ですから、

当たり前と言えばそうなのかもしれませんね。どちらにしても定期的に庭の手入れは行って

おきたいものです。

庭の手入れは意見が分かれる事も

賃貸の場合、戸建ての庭の手入れに関しては、人によって見解が分かれる事も

多いかと思います。借主からすれば家賃を支払っている以上、庭の管理は家主にやって

欲しいと考える人もいるでしょうし、逆に家主であろうと勝手に庭に入る事は不法侵入だ

と言う人さえ中にはいます。

一方で家主側からすれば庭の手入れは借主の善管注意義務範囲にあたり借主が自分で行う

ものだと言う人もいれば、逆に庭は大家の所有地であるから手入れや植栽は大家側で行う

のが普通と考える人もおり、意見が分かれやすい問題でもあります。

借主側の手入れが一般的?

色々と意見はあるかと思いますが、基本的な事を言えばやはり戸建て庭付き物件の場合には

契約書や重説で最初に取決めをしておく事が一番です。それもざっくりとした内容ではなく

草刈や植栽について出来るだけ細かく決めて置く事が大切かと思います。特に庭が広大であったり、

手入れ費用が高くつく庭がある場合はなおさらしっかりとした取決めが必要になります。

 

しかし実際の契約書等では庭の手入れについてまで記していない事が一般的です。

では契約書について取決めのない庭の手入れは誰がやるかと言えば、やはり一般的には

借主が管理するのが通常の考え方と言えるでしょう。

借主には居住している以上、やはり物件を適切に管理する義務があります。また例えば

国交省ガイドライン等を参考にしても「戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草→草取りが

適切に行われていない場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断される場合が

多いと考えられる」とし、借主負担としています。

過去の判例等を見ても似たような事例があります。契約時の状況や途中経緯など

色々と考慮する点はありますが概ね賃借人負担としているようです。

「(庭修復費用請求事件:東京簡易裁判所・平成21(少コ)81等 )

途中一部抜粋: (1) 庭の植栽についての被告らの善管注意義務

本件契約書及び重要事項説明書には,賃貸借の目的物として建物のみが記載され,敷地,庭の植栽等に

関する記載が一切ないことは前記認定のとおりである。 しかし, 本件のような庭付き一戸建て物件の

賃貸借契約においては,被告らのような庭の使用状況に照らして,庭及びその植栽等も建物と一体と

して賃貸借の目的物に含まれると解するのが当事者の合理的意思に合致するというべきである。

そうすると,被告ら(賃借人ら)は本件賃貸物件の敷地・庭の植栽についても,信義則上,一定の

善管注意義務を負うと解するのが相当である。」

 (3) 草取りの状況について
「被告らの入居前と退去後の庭の草の状況を比較すると,退去後は明らかに草が生い茂っている状態で

あり,甲5の25の写真が退去の約1ヶ月後の状態であることを考慮しても,一般的な庭の管理として

行われるべき定期的な草取りが適切に行われていなかったものと推認される。したがって,この点は

被告ら(賃借人ら)の善管注意義務違反とみるのが相当である。」

 

この事案では借主の善管注意義務違反を一部認めており、敷金から一部を修復費用として

負担する事を裁判所が認めています。あくまで負担割合等はケースバイケースとは言える

ものの、やはり基本的には借主が庭の手入れや管理をするものと考えて良いかと思います。

 

またよくトラブルになりがちなのは借主が大家に無断で植栽や木の切り取りをしてしまい、

後々に問題になるケースですね。契約時にははっきりとした取り決めをしていない事も

多いですし、借主さんからすれば契約当初から大家さんに一度も会った事がないケースも多く、

相談しずらい気持ちも分からない訳ではありませんが、不明な点はやはり管理会社等に

相談してから行動を起こすようにしたい所です。

これから庭付き戸建に住む借主さんも契約時に十分に詳細を確認してから借りるように

したいですね。それでは今日はこの辺で。

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