契約前だと重要事項説明書をもらえない?

契約前だと重要事項説明書をもらえない?

今回は契約書類について書いてみたいと思います。

また寒い日が続いていますね。数日前まで暖かい日がありましたが、ここ最近は真冬に逆戻り

といった感じです。寒いのが苦手な私としては外へ出るのも苦痛。こうやって三寒四温を繰り返し

ながら2月中旬頃には春の色が見えてくるのでしょうか。

賃貸も現在は繁忙期。新学期にて入学・入社準備シーズンの今では新たに新生活を始める借主さん

たちが急いで準備に取り掛かっている事と思います。多くの不動産業で申し込みや契約事が足早に

行われている事でしょう。ですがそんな慌ただしい時期だからこそ、チェックをおろそかにせずに

書面等の注意事項はしっかりと目を通しておくべきです。

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賃貸にしても売買にしても契約前には重要事項説明書の内容を説明する事が業者に義務付けられて

います。引っ越しが初めての人もいるかもしれませんが不動産というのは高額かつ特殊な商品で

取引物件の内容や取引条件などを十分に理解・納得してもらってから契約するようになっています。

不動産取引において物件の内容や取引の条件などについて、顧客が十分な考慮・判断ができるよう、

不動産業者は事前に必要な情報が記載された書面を交付する事になっており、それが重要事項説明書

になります。よく重説と言われるものですね。顧客が十分に取引の内容を理解し、詳細に納得した

うえで契約を締結してもらうことを目的としています。

不動産にも法律があり、その中の宅建業法35条にも以下のように記されています。

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは

代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の

各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、

その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、

少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明

させなければならない。

少し堅苦しい表現にはなっていますが、要するに売買や賃貸において顧客に対し、契約が成立する前

までに、重説を渡して内容を説明してあげましょう、といった内容になります。

今では重説も紙ベースではなくオンライン上での説明も話題になっていますが、現状では

オンライン説明はもう少し先の話になるのかもしれませんね。

 

さて契約時には顧客は不動産屋へ出向いて契約をする事が殆どかと思いますが、この重要事項説

明書は大抵の場合は店舗に着いて、契約時に直前に渡される事が多いものです。

特に今の多忙な時期などでは賃貸は重説~契約終了まで30~40分程度で済ませてしまう事

も多いかと思います。重説は宅建主任者が説明をする事になっていますが、特に忙しい店舗だと

時間刻みで後に顧客がつっかえているので、店内もバタバタです。

しかしその30分間でお客さんが重説や契約書の内容を理解しているかと言えば、実際はあまり

理解していない事が多いものです。最後には担当から質疑応答の時間を設けるのが普通ですが、

顧客は不慣れな事が多過ぎて何を質問して良いのかさえ理解していないケースも多くあります。

最近ではネットが普及した事もあり、多少の予備知識を付けて来店する顧客も多くなったものの、

説明を聞いても「まぁそんなもんかぁ、、」といった感じで契約に臨んでしまうお客さんが

多いかと思います。

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重説に関しては契約時でないと渡してはいけない等の決まりはもちろんありません。むしろ顧客が書面

交付を希望しているのに重説を渡さない不動産業者は個人的にはどうかな?と思います。

上記のように契約前に交付するルールというなので、例えば契約の1週間前に書面を請求しても全く

問題ありません。契約の前であっても書面のコピー等を求める事は普通の事であって、不動産業者

としては本来は契約前でも重説を交付しなければならない事になっています。例えば1週間前に書面を

交付してもらえれば、自分なりに書面の中の不明な点などを整理して契約に臨むことができますしね。

契約直前に細かな文言が並んだ重説を渡されて、その場で理解してくださいと言われても、引っ越しに

慣れている人でない限り、実際にはなかなか難しいものです。それでいて後からトラブルが発生した際

には、「書面に署名・捺印がされているから」と言われたりでもしたら気持ちの収まりもつきません。

事前交付を断る業者も

しかし実際には残念ながら事前の書面交付を断る不動産業者も多いものです。

その理由としては幾つかありますが、1通の重説・契約書を作るのにも多少手間がかかる事・

内容が家主側寄りに作成されている事も多いので、顧客が契約書や重説の内容を細かく目を通せば

通すほどキャンセル等の不都合が生じる恐れがある事・不動産業者も書面内容を全て理解している

とは限らず、内容を細かく追及されればされるほど、困ることがある・全ての質問に回答しようと

すると膨大な時間がかかってしまい時間的に困難な事、などが挙げられるかと思います。

まして今ではPCやスマホがあるので顧客が内容詳細を確認し始めると話がこんがらがって結果的に

話がパーになる事もあるものです。不動産屋としては業者として伝える義務がない事項については、

それが借主に不都合が生じる可能性が多少あったとしても伝えない場合があります。もっと悪く言って

しまえば説明する事項を説明してサインをもらう事が重説であり、顧客が理解しているかどうかは別と

考える説明者もいるのかもしれません。

 

しかしやはりそれは不動産屋側の都合であって、重説は契約の前に書面を交付して説明する事が

義務付けられています。もちろんそれは契約直前だけに限る話ではありません。また交付の義務

があるのは説明を受けた後でも重説を読み直して十分に確認・検討ができるようにという意味合い

も含まれています。ルールを守る業者さんであればきちんと重説等のコピーは前もって渡して

くれる筈です。

もちろん今の多忙な時期は多少煙たがられる事はあるかもしれませんが、こちらが真面目に検討

している姿勢を見せれば交付するのが普通です。それでも断るようであれば仲介業者は沢山あり

ますので他をあたっても良いでしょう。

IT重説にて事前交付が可能に

今までは対面で重説を行うことが普通でしたが、今後はIT重説が始まる事になります。

2017年10月より本格運用が予定されており、IT重説が開始されれば基本的には

重説も事前に交付しておく事になるのでしょう。またIT重説であれば説明映像を記録・保存

しておくことも可能になりますので、後々に言った・言わないのトラブルも少なくなりそう

ですね。今後普及していく事を期待したい所です。

 

契約書や重説の内容は普段から不動産に関わっている人でなければ、全ての内容を数十分で理解

しようとするのは多少無理があるかと思います。後々に不利益を被った時に契約時の証明となる

ものは書面がほぼ全てです。契約時に無理やり飲み込もうとせず、契約の前に書面を交付して

もらい十分に時間的に余裕を持って契約に臨みたい所ですね。

今回は契約前だと重説を交付してもらえない?ケースについて挙げてみました。

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