賃貸で重要事項説明書が不要なケースは?サブリース契約ではどう?

今回は重要事項説明が不要なケースについて挙げてみたいと思います。

賃貸で契約をする際には重要事項説明が必要です。

重要事項説明とは契約前に入居者に対して、物件の状態や契約の内容などについての詳しい説明がなされます。

ですが不動産取引の中でも重要事項説明が不要なケースもあります。

それでは重要事項説明が不要なケースとはどのような場合でしょうか。

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賃貸で重要事項説明書が不要なケースは?

 

それでは賃貸契約において重要事項説明書が不要なケースとはどのような場合でしょうか。

重説は宅建業法35条において次のように定められています。

宅建業法35条

宅地建物取引業者は(中略)取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。

このように不動産業者は契約前に宅建主任者をもって重要事項説明を行わなければならないのが通常です。

 

ですがこの重要事項説明が不要なケースがあります。

例えば以下のような場合が挙げられます。

  • 宅建業者が貸主となる場合
  • 駐車場契約
  • 更新時の更新契約
  • 適用除外者(国・地方公共団体など)・無免許営業者など

 

まず宅建業者が貸主となる場合には、貸主自らが所有する物件を直接賃貸することになり、仲介をする訳ではありませんので基本的に重要事項説明書は不要ということになります。

また駐車場契約等も土地や建物の貸借ではなく、宅建業法適用とはならないため、重要事項説明の義務はありません。

更新時においても、重要事項説明は契約時に仲介業者が行うものですので更新時も重説の必要はありません。

その他として国と地方公共団体・公的法人などが宅建業するときでも重要事項説明する必要はありません。

 

また重要事項説明書が必要かどうかは取引態様を確認してみると良いでしょう。

取引態様とは、不動産会社が取引を行う上での立場を表し、媒介・代理・貸主の3種類があります。

この取引態様により取扱いに違いがあり、重要事項説明をはじめ実務上の取り扱いに違いがありますので、契約前には確認をしておいた方が良いでしょう。

取引態様取引態様の意味重要事項説明宅地建物取引業法の
規制
仲介手数料
媒介(仲介)不動産会社が貸主と借り主の間に立ち、契約成立のための業務を行う義務あり適用あり一般的には必要
代理不動産会社が貸主の代理人として、募集や契約等の手続きを行う義務あり適用あり必要なし
貸主貸主自らが所有する物件を直接賃貸する義務なし適用なし必要なし

 

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サブリースでは重要事項説明は不要?

サブリースという言葉は普段から不動産に馴染みのない方には聞き慣れない言葉かもしれません。

サブリースとは大家さんから不動産会社が物件を借り上げて、その借り上げた物件を不動産会社が他の人へ転貸(又貸し)する形態を言います。

大家さん→不動産会社(借り上げ)→お客さん(又貸し)という事になりますね。

 

サブリースによって入居者の募集や建物の管理・契約締結等を不動産会社が行いますので大家さんは手間が省けます。

その分不動産会社が大家さんから借り上げる賃料は相場より10~20%くらい低い金額で借り上げる事が多いです。

つまり入居者からの転貸賃料と、サブリース会社が大家さんに支払う賃料との差額である10~20%がサブリース会社(不動産会社)の利益となります。

 

先ほどから書いているように、通常の賃貸契約ですと契約締結前には重要事項説明が行われます。

ですが先ほどの表を見ても分かるように、この重要事項説明は「媒介(仲介)」をする際に必要という決まりになっています。

契約当事者(貸主と借り主)の間に入って媒介(仲介)する時には重説が必要という事です。

 

一方で、サブリース物件の場合は大家さんから不動産会社が物件を借り上げているので貸主=不動産会社という事になります。

宅地建物取引業法において自ら貸主となる場合は宅建免許は必要なく、宅地建物取引主任者による重要事項説明も必要ありません。

これはサブリースでも同様であり、不動産会社は媒介(仲介)している訳ではなく、単純に貸主(不動産会社)と借主(お客さん)の当事者同士の契約ですから重説不要という事です。

 

ちなみに少しややこしいようですが、このサブリース物件を他の不動産会社が「仲介」する場合には、やはり重要事項説明が必要になります。

不動産会社(A:貸主)←不動産会社(B:仲介)→お客さん(借主)のような場合です。

この場合不動産会社Bが仲介に入っているので重説が必要です。

 

また賃貸契約の場合には一般消費者と取引するにあたり、後々にトラブルになる事も懸念されるので、サブリースで重説不要となっている場合であっても念のためという意味で重説を行っている不動産屋さんも多いかと思います。

重説を行ってはいけないというルールはありませんので、その方が親切かもしれませんね。

 

またサブリースは宅建業ではなく賃貸管理業の扱いになり、賃貸住宅管理業者登録制度での重要事項の説明が必要な場合もありますが、もともとの業者登録自体が任意です。

サブリースかどうかは契約書を見ればある程度わかるような事もあり、物件の「所有者」と「貸主」が違っている場合はサブリースの可能性があります。

借主さんからしてみればサブリースかどうかはあまり関心はないかもしれませんが、どちらにしても契約前の重要事項説明はしっかり受けるようにしたいですね。

 

賃貸の重要事項説明書まとめ

賃貸で重要事項説明書が不要なケースについて幾つか挙げてみました。

重要事項説明書は契約内容や物件について大切なことが記載されていますし、契約前の不明点や疑問点を解消するためでもあります。

中には不動産取引にある程度慣れている人ですと「重説は不要」「重説しなくていいよ」なんて言う方もいるようですが、やはり契約前にはきちんと重要事項説明を受けておくようにしましょう。

後々のトラブルが生まれないように、契約前に不安な点はしっかりと解消しておきたいですね。

今回は重要事項説明書が不要な場合について挙げてみました。

それでは今日はこの辺で。

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